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アンザンジュは一年草で、開花結実した後に枯死し、枝が内側に丸まって球形になる。雨が降って水を吸うと再び枝を開き、種子を散布する(水を得て枝を広げても生き返るわけではなく、枯死した状態で種を散布するだけ)。株は風に吹かれて転がり、タンブルウィードのように遠くに運ばれるという(移動するという点は疑問視されている?)。エリコのバラ(ジェリコのバラ)と呼ばれ、古くからヨーロッパでも知られていたようだ。小野蘭山の『本草綱目啓蒙』にはローヅハンヱリガウ(roos
van Jericoのことと思われる)、アンサンジュとして記載され、お産の軽重を占うために用いられたことが書かれている。また薬としても用いられたようだ。アンザンジュはテマリカタヒバと混同されることが多いが、まったく異なる植物。写真は枯死して乾燥した状態のアンザンジュ(植物検疫を受けて輸入したもの)。写真の状態で株の直径は12cmほど |
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水に漬けると枝を開く。乾燥させると再び枝を閉じ、この運動は何度も繰り返す。「エリコのバラ」という名前は株全体――枝葉の広がりをひとつの花に見立てたもののようだ。なお聖書(『集会の書』)の「エリコのバラ」は大きく育ったたとえとして登場するので、草丈15cm程度のアンザンジュとは異なる植物と思われる |
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アンザンジュの種は直径2mm足らずのレンズ形。水を含むとゼリー状の物質を分泌し、水分を保持する。水を与えると24時間後にほとんどの種が発根し、48時間後には双葉を展開した(気温20℃前後の条件)。写真は播種17日後の様子。双葉の端から端までは約15mm |
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10月に種をまいたものが播種後47日で開花を始めた(双葉がしっかりと残った状態で草丈は数cm。本来の生育状況とは異なるようだ)。写真の花の直径は約7mm。自生地では2〜3月に開花するというので秋に発芽する長日植物と思うが、夜間に光を当てたために花芽が分化したのだろうか。播種時期や光の条件を変えて継続的に観察する必要がありそうだ |