草木図譜 カメリア‘エリナ’




















 

 

 

 

‘エリナ’は極小輪の花をたくさん咲かせるツバキ属の植物。ホームセンターなどでも大量に販売され、庭木などとしてよく栽培されています。よく似たものに‘エリナカスケード’という、別品種とされる植物もあります。カスケード(小さい滝)という名が示す通り、後者は枝垂れ性とされますが、実際のところ両品種とも枝垂れるように育ち、樹形からは区別が難しいように思われます。

 

公益財団法人 東京都農林水産振興財団の東京都農林総合研究センターのサイト

新樹種見本園樹種紹介として、カメリア ロストルニアナ ‘エリナ’が掲載されています(ネットで閲覧できる、最も信頼性の高い‘エリナ’の写真と思われます)。

https://www.tokyo-aff.or.jp/

*トップページ以外へのリンクは禁じられているため、‘エリナ’掲載ページへのリンクを貼ることができません。トップページの右上にある「各種検索」から「エリナ」で検索してください。掲載されているのは‘エリナカスケード’ではなく‘エリナ’の写真ですが、枝先が地面に着くほど大きく枝垂れているのが確認できます。

 

‘エリナ’と‘エリナカスケード’に関する情報はかなり混乱していています。以下、その情報を列挙してみます。

日本の農林水産省の登録品種データベースの情報

‘エリナ’は埼玉県の柴道昭氏によって品種登録番号11658として登録され、「中国から導入した導入した野生種の変異株」と記されています

一方、‘エリナカスケード’は品種登録されていません。

これらの情報は登録者ご本人の提供によるものなので、最も信頼性の高い情報と思われます。

*‘エリナ’と‘エリナカスケード’はいずれも生産者によるラベル付きで販売されています。‘エリナ’のラベルに「品種登録番号11658」と書かれているのは当然として、なぜか品種登録されていないはずの‘エリナカスケード’のラベルにもまったく同じ番号が記されています。

 

日本の特許庁の情報(品種名の商標登録について)

‘エリナ’という名称は商標登録されていません。

‘エリナカスケード’という名称は「登録商標第5228690号」として登録されています

 

米国特許商標庁の情報

‘エリナ’と‘エリナカスケード’はともに植物特許を取得しています(譲受人・Hines Nurseries, Inc.)。

‘エリナ’(PP12349)の登録内容は「川口市のツバキ(Camellia rosthorniana)の管理植栽において実生選抜として発見されたツバキの新品種および識別品種に関するものである」と記されています。

‘エリナカスケード’(PP12304)の登録内容は「川口市のツバキツバキ(Camellia tsaii var. synaptica)の管理植栽において実生選抜として発見された、新規かつ明確な品種であるツバキに関するものである」と記されています。

*この二つの登録情報が正しいとすると、‘エリナ’と‘エリナカスケード’は非常によく似ているにもかかわらず、別の原種から生まれたということになってしまいます。

 

International Camellia Regisetrの情報

https://camellia.iflora.cn/Cutivars/Detail+latin?Elina

‘Elina Cascade’を’Elina’のシノニム、つまり両品種を同じものとしています。

しかし同一ページ内の日本語の説明文には、「この(‘エリナ’の)枝が枝垂れる品種がエリナカスケードともいわれる」という記述があり、両品種を別のものとしていてページ内で矛盾が生じています。

また‘Elina’の別のシノニムとして、‘Cupido®‘が挙げられ、ヨーロッパのPVR(植物品種の権利)で保護されている植物と書かれています

 

『三河の植物観察』という個人サイト

‘エリナカスケード’に関して「Camellia tsaii var. synaptica ツァイと Camellia lutchuensis ヒメサザンカ(ルチエンシス)との交雑種(中略)ともいわれているが詳細不明」という記述があります。

 

『山溪ハンディ図鑑14 増補改訂樹木の葉』 (林将之著・山と溪谷社)

‘エリナカスケード’に関して「中国原産のC. tsaiiと沖縄原産のヒメサザンカC. lutchuensisの交配による栽培品種」という記述がありますが、その情報源は書かれていません

 

上記2つの情報(『三河の植物観察』、『山溪ハンディ図鑑14 増補改訂樹木の葉』)に関して。一方の親のCamellia tsaii var. synaptica(山溪ハンディ図鑑ではC. tsaii)に関しては、前述の米国特許商標庁に記載がありますが、もう一方の親がヒメサザンカであるという情報の出処が不明です。しかし不明であるにもかかわらず、ネット上では確実なこととして広まっているようです。確実な情報源をご存じの方がいらしゃったら、ぜひご教示くださるようお願いいたします。

 

その他

Camellia minutifloraCamellia lutchuensis var. minutiflora)という植物が‘エリナ’や‘エリナカスケード’によく似ているように思われます

https://camellia.iflora.cn/Species/Detail?latin=Camellia+minutiflora

 

なお、ネット上ではヒメサザンカ‘エリナ’、姫サザンカ‘エリナ’という呼称も見られますが、適切ではないと思われます。




カメリア‘エリナ’

学 名 Camellia 'Elina'

分 類
 ツバキ科ツバキ属

原 産
 

タイプ
 常緑低木

栽 培 
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