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食用として売られていた銀杏(ぎんなん)をまいてみた
*ご存じの通り、銀杏の外種皮(果肉のような部分)は猛烈なにおいを放つ。これを食べる現生の生物はタヌキやネズミなどに限られるという(昆虫などの小型の生物を除く)。このため現在では、銀杏はイチョウの根元にぽたぽたと落ちるだけで、遠くに運ばれることは少ない。被子植物ならおいしい果肉を付けて鳥などを誘い、種子ごと飲み込まれることによって種子を散布してもらうのが普通だ。あるいはイチョウと同じ裸子植物であっても、たとえばマツの類の種子は風の力によって、イチイなどの種子は甘い仮種皮(種子は有毒だが仮種皮は無害)を付けることによって動物にのみ込まれ、遠くまで運ばれる。イチョウの種子だけが散布されるのを拒んでいるように見えるのは不思議だ。『植物のたどってきた道』(西田治文著・NHKブックス)によると、銀杏は恐竜によって散布された可能性があるという。恐竜が銀杏を丸呑みし、離れた場所で排出することで分布を広げたというわけだ。恐竜にはあのにおいがおいしそうに感じられるのかもしれない。現在の地球における小鳥のような役割を、巨大な恐竜が果たしていたというのは興味深い。また、相棒を失ったイチョウが相変わらず恐竜のための餌を準備し続けているというのは何となく寂しい話だ |
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