草木図譜 プロテア・コルダータ(コルダータ)


20数cmの切り枝。葉の幅は9cmほど
 フラワーアレンジメントやいけばなの花材として、最近になって出回るようになった植物です。同じ属のキングプロテアなどは、巨大な1輪の花のように見える花序を鑑賞の対象としますが、このプロテア・コルダータの場合は赤く色付くハート型の葉がみどころとなります。3〜4枚の葉を付けた、長さ数十cmの切り枝の状態で出回ります。
 普通は単に「コルダータ」と呼ばれ、「プロテア・コルダータ」という正式な名称が用いられることはほとんどありません。逆に、正式な名称の方が通用しない可能性もあります。しかし「コルダータ」という呼び方にはちょっと問題があるということを、覚えておいてもいいかもしれません。どこに問題があるのかを、ご説明しましょう。
 学名を表記する場合は、基本的に「属名」と「種小名(しゅしょうめい)」の二つを書く必要があります。 プロテア・コルダータの場合は、「プロテア(Protea)」が属名で「コルダータ(cordata)」が種小名にあたります。種小名というのは、多くの場合、その種(しゅ)がどのような特徴を持っているのかを説明しています。そしてコルダータの場合はラテン語で、「心臓形」を意味しています(「心からの、誠心誠意の」を表す英語「cordial」にその面影を見ることができます)。心臓(ハート)形の葉というのはありふれた存在で、従ってこの種小名を持つ植物はたくさんあります。たとえばドクダミはハウトイニア・コルダータ、タケニグサはマクレイア・コルダータ、イエライシャンはテロスマ・コルダータといった具合で、ほかにもフィロデンドロン・コルダータ、クリプトコリネ・コルダータなど、例を挙げればきりがありません。つまり、コルダータだけではどれを指すのか特定できず、混乱を招く恐れがあるのです。
 さて、プロテア・コルダータですが、枝分かれしない細い幹を伸ばし、50cmほどに生長する低木です。花は冬咲き。地面すれすれの場所に、褐色の総苞片(そうほうへん・花序の周囲の特殊な葉。一見花弁のように見える)を持った花を咲かせます。なおその花粉は、ネズミの一種によって媒介されるそうです。


プロテア・コルダータ 通称/コルダータ
*参照→プロテア(園芸品種) プロテア・レペンス
学 名 
Protea cordata
分 類 
ヤマモガシ科プロテア属
原 産 
南アフリカ共和国
タイプ 
常緑低木
栽 培 
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