草木図譜 ツバキの園芸品種
‘ボンテンジロ’


Camellia japonica 'Bontenjiro'
‘梵天白’
一種の帯化現象により、先端が三つほどに分かれるツバキの葉を「錦魚葉(きんぎょば)」と呼ぶ。その代表は‘キンギョバツバキ’(「金魚葉椿」などと表記されることもある)。その錦魚葉の葉のくびれが著しくなり、主脈だけでつながっている状態のものが「梵天葉」。このような葉の変異は、クロトンの「飛葉系」の園芸品種にも見られる。ところで、この形がなぜ「梵天」なのだろう。単純に幣束(別名・梵天)に見立てたものかもしれない。仏像の印相(いんぞう・手の形)のひとつに、掌を外に向け、指を伸ばして下に垂らす「与願印(よがんいん)」がある。釈迦如来像、阿弥陀如来像などによく見られる印相だが、梵天像にも例があるようだ。あるいは葉の形をその与願印に見立てたものだろうか(これはあくまで私個人の無責任な想像なので十分にご注意ください)。‘ボンテンジロ’には錦魚葉と梵天葉の両方が付く。花は白色で一重・椀咲き、中輪。3〜4月咲き。‘キンギョバツバキ’同様、花にはウラクツバキと似たやや強い香りがある

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