草木図譜 ユキツバキ


↑ユキツバキ(原種)
ユキツバキの葉柄は短くて毛が生えている。ツバキ(ヤブツバキ)の葉柄は長く、毛はない
↑「ユキツバキ原種白花」として販売されていた白花品。詳細は不明。シロバナユキツバキとか‘シラユキツバキ(白雪椿)’と呼ばれるものと同一だろうか
↑ユキツバキ‘アサヒノユキ(朝日の雪)’
葉に黄緑色の中斑が入る。花は一重・平開咲き、小輪。‘タイヨウ(太陽)’、‘キンセカイ(金世界)’など、似たような斑入り葉を持つユキツバキの園芸品種は多い
Camellia rusticana 'Asahinoyuki'
↑ユキツバキ‘イワイノサカズキ(祝の盃)’ *上写真2点
一重・椀〜平開咲き、中輪、2〜4月咲き。咲き始めは花弁の縁が爪折状に内側に曲がる。新潟県阿賀野市(旧・北蒲原郡笹神村)で栽培されていた園芸品種。ユキツバキには珍しく花にやや強い香りがある。上の写真は‘祝の盃’という正しいラベル付きで入手した株の花(2009年開花)。下の写真は‘加賀友禅’というラベル付きで入手した株の花(2008年開花)だが、このラベルは誤りで‘イワイノサカズキ’に間違いなさそうだ。香りの強さは株の状態や気温などに左右されるためであろう、上の花の香りは弱かった。下の花の香りは非常に強く、その香りは紅茶のアールグレイ(というよりもベルガモット)そのもの
一重・椀〜平開咲き、中輪、2〜4月咲き
Camellia rusticana 'Iwainosakazuki'
↑ユキツバキ‘ウタゲ(宴)’
八重咲き、中輪、3〜4月咲き。富山県産の園芸品種
Camellia rusticana 'Utage'
↑ユキツバキ‘オトメツバキ(乙女椿)’
よく知られたユキツバキの園芸品種。ユキツバキがヤブツバキと異なることが明確にされた、いわばユキツバキが「発見」されたのは1947年のことだが、それまで存在が知られていなかったわけではない。事実、この‘オトメツバキ’は江戸時代から栽培されている。丈夫で太平洋側の地域でも栽培しやすく、挿し木も容易。千重咲き、中輪、12〜4月咲き

Camellia rusticana 'Otometsubaki'
↑‘カガノシラウメ(加賀の白梅)’
石川県産。厳密にはユキバタツバキ系のようだが、ここではユキツバキのページに掲載した。一重・平開咲き、中輪、3〜4月咲き
Camellia 'Kaganoshiraume'
↑ユキツバキ‘ギョクホウ(玉抱)’ 上写真2点
ツバキ(ヤブツバキ)の‘ボクハン’などと同じ、唐子咲きの園芸品種。ツバキの‘モモイロボクハン’とやや似た花色。小さな唐子弁が多数集まって盛り上がり、名前通り玉を抱えたような花形になる。石川県産。唐子咲き・小輪、3〜4月咲き
Camellia rusticana 'Gyokuho'
↑ユキツバキ‘コマツヒメ(小松姫)’
一重・平開咲き、中輪、3〜4月咲き、紅色の花(『日本ツバキ・サザンカ名鑑』には「桃色の一重、盃状咲き、(中略)小輪」と記載されている)。新潟県で栽培されていたユキツバキの園芸品種。原種そのもののように見えるが、花弁の大きさが揃う整った花形。なお愛媛県産のツバキ(ヤブツバキ)に同名の園芸品種がある
Camellia rusticana 'Komatsuhime'
↑ユキツバキ‘シロバンダイ(白万代)’
新潟県上越市産。一重・桔梗咲き・極小輪。花弁には光沢がありしわが少なく、整った花形を長期間保つ
Camellia rusticana 'Shirobandai'
↑ユキツバキ‘チョウカイ(鳥海)’
一重・椀咲き、小輪、3〜4月咲き。秋田県由利郡鳥海町(現在は由利本庄市)で栽培されていた園芸品種
Camellia rusticana
'Chokai'
↑ユキツバキ‘ツガワシボリ(津川絞)’ *上写真2点
新潟県東蒲原郡津川町(現在は東蒲原郡阿賀町)の民家で栽培されていたユキツバキの園芸品種。千重咲き〜列弁咲き(花弁が縦にまっすぐに配列する咲き方)、中輪、3〜4月咲き。下の写真のように赤一色の花が咲くこともある。武田薬品研究所が命名した園芸品種
Camellia rusticana 'Tsugawashibori'
↑ユキツバキ‘ハナカンザシ’
新潟県上越市産。八重・蓮華性・中〜大輪、2〜3月咲き
Camellia rusticana 'Hanakanzashi'
↑ユキツバキ‘マツナミ(松波)’
新潟県で栽培されていたもの。獅子咲き・牡丹咲き・二段咲きと花形の変化が大きいようだ。写真は二段咲きの花。小〜中輪、3〜4月咲き
Camellia rusticana 'Matsunami'
↑ユキツバキ‘ユキコマチ(雪小町)’
新潟県産のユキツバキの園芸品種。八重〜牡丹咲き、中輪、3〜4月咲き。雄しべの花弁化の程度はさまざまで、咲き方によって別の花のようにも見える

Camellia rusticana 'Yukikomachi'
↑ユキツバキ‘ユキサラサ(雪更紗)’
富山県産の園芸品種。千重、中輪、3〜4月咲き
Camellia rusticana 'Yukisarasa'
鋭意制作中

ユキツバキ(雪椿) オクツバキ(奥椿) ハイツバキ(這椿)
*参照→ツバキ →ツバキ属の交配種 ツバキ属の植物の相違点
学 名 Camellia rusticana Honda (異名/Camellia japonica ssp. rusticana (Honda) Kitam. Camellia japonica var. decumbens Sugimoto
分 類 ツバキ科ツバキ属
原 産 日本(秋田県〜滋賀県北部の日本海側・豪雪地帯山地)
タイプ 常緑低木
栽 培 水はけのよい土に植え、日当たり〜半日陰で栽培する。ツバキよりも葉焼けしやすく、真夏はやや遮光した方がよい。剪定は開花後、3〜4月(大きく切り詰める場合は2月〜3月上旬が最適)。6月ごろに花芽ができるので、それ以降の剪定は樹形を整える程度にとどめる。植え替えは梅雨時が最適で失敗が少ないが、3〜4月、9〜10月(寒冷地では8〜9月)も可能。鉢植えの用土は、赤玉土・鹿沼土・日向土・桐生砂のうちの数種を混ぜたものを用いる(アルカリ性の土壌を嫌う)。6〜8月に挿し木で殖やす(全体をポリ袋などで覆う「密閉挿し」なら、冬季でも可能。この場合、6月ごろに少しずつ外気に慣らしながらポリ袋を取り除く)。3〜8月の取り木も可。挿し木・取り木とも、ツバキよりも発根しやすい。ツバキより低温や冬季の乾燥した空気に弱い(自生地では雪に埋もれて越冬するため、気温と湿度が保たれる)
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