草木図譜 ツバキ属の交配種


↑‘アヤメドリ(あやめ鳥)’
ワビスケの‘ハツカリ’の自然実生。一重・筒咲き、中輪、12〜3月咲き。「あやめ鳥」とはホトトギスの異称。花柱の下部にわずかな毛がある
Camellia 'Ayamedori'
↑‘イツノユメ(以津の夢)’ 上写真2点
‘チューリップタイム’の自然実生。一重・桔梗咲き、小〜中輪、1〜4月咲き。花柱の基部にごくわずかな毛がある
Camellia 'Itsunoyume'
↑‘エツ(悦)’
ハイドゥン‘タマアメリカーナ’の交配種。一重咲き(写真の花の花弁数は9枚で半八重だが、観察数が少ないため詳細は不明。販売店のカタログに従って一重としておく)・中輪。抱えぎみの咲き方はハイドゥンに似るが、ハイドゥンよりも花弁は薄いようだ。ハイドゥンと異なり花は上向きに咲く。耐寒性はハイドゥンより強いようで、関東地方の我が家では数年にわたって屋外で栽培しているが、まったく問題はないようだ(同じ環境でハイドゥンもかろうじて越冬するが、蕾が落ちるなどの被害を受ける)

Camellia 'Etsu'
↑‘クリスマスローズ(Christmas Rose)’
カメリア・ウイリアムシー(Camellia X williamsii)とサザンカの交配種。なおカメリア・ウイリアムシーはツバキと中国原産のサルウィンツバキとの交配種。花弁は蛍光を帯びたような桃色。花弁はばらばらに散り、子房に白い毛が密生する。花にはあまり強くない香りがある。八重咲き・写真の花の直径は9cmほど(中輪)
Camellia 'Christmas Rose'
↑‘クレナイ(くれない)’
トウツバキ‘クリムゾンローブ’(大紅袍)とサザンカ‘クリムゾンキング’の交配種。子房には白い毛が密生し、花には皮革を思わせるような香りがある。八重・中輪・2〜3月咲き
Camellia 'Kurenai'
↑‘ジュリー バー’
八重咲き・中輪。交配種の‘Robbie’とCamellia japonica ‘Dr. Tinsley’の交配種(‘Robbie’は‘Sylvia May’の実生。‘Sylvia May’はCamellia cuspidataサルウィンツバキの交配種)。アメリカで作出
Camellia 'Julie Var.'
↑‘ショコウ(初黄)’
中国産の黄花の原種キンカチャ(金花茶)とツバキ(ヤブツバキ)の園芸品種‘シギタツサワ(鴫立沢)’の交配種。キンカチャ交配種のうち黄色い花が咲くものはこれが世界初で、1989年に発表された。なお、黄花ではない交配種はこれ以前にも作出されている。また現在では、黄花の交配種は40品種ほど発表されている。関東地方の我が家では屋外で問題なく越冬している。一重・筒咲き・小輪、12〜3月咲き

Camellia 'Shoko'
↑‘シルクロード’
トウツバキ(Camellia reticulata)系の園芸品種‘Shot Silk’とツバキ(ヤブツバキ)の園芸品種‘カラニシキ(唐錦)’とを交配して、日本で作り出された園芸品種。‘Shot Silk’の「shot」は、「玉虫色の」とか「見る角度によって色が変わって見える」という意味だろう。‘カラニシキ’は江戸椿のひとつで、蓮華性でピンク地に赤の絞り模様の花を付ける。‘シルクロード’の花は大輪で、花弁が螺旋形に配列する螺旋咲き、または縦にまっすぐに配列する列弁咲き。花弁がばらばらに散る「散り性」。3〜4月咲き

Camellia 'Silk Road'
↑‘ズイチョウ(瑞鳥)’
ツバキの‘ミヤコドリ(都鳥)’‘チューリップタイム’の交配種。八重・蓮華咲き・大輪(写真の花の直径は約13cm)

Camellia 'Zuicho'
↑‘センテッドジェム’
‘ボクハン’ヒメサザンカの交配によって作られた花に香りのある園芸品種。唐子咲き・極小輪(写真の花の直径は2.5cmほど)
Camellia 'Scented Gem'
↑‘ソメフデ(染筆)’
‘タロウカジャ’(ウラクツバキ)‘ヌキフデ(抜筆)’の交配種。花に香りがあり、子房に毛が密生する。一重・筒〜ラッパ咲き、小輪、1〜4月咲き
Camellia 'Somefude'
↑‘チャチャヒメ(茶々姫)’
ユキツバキの園芸品種‘トウヨウノヒカリ(東洋の光)’=‘ドンチョウ(どんちょう)’とチャとの交配によって作られた園芸品種。チャと同様、子房は有毛。花にはチャの花と似た香りがある。一重の抱え咲き、極小輪。10〜4月咲き

Camellia 'Chachahime'
↑‘チューリップタイム’
カメリア・ウイリアムシー(Camellia X williamsii)とツバキ(ヤブツバキ)とを交配して、アメリカで作られた園芸品種。花弁は細長く樋状。一重咲き、中輪、開花期は2〜4月。子房の上部〜花柱下部に毛がある。なおカメリア・ウイリアムシーはツバキと中国原産のサルウィンツバキとの交配種
Camellia 'Tulip Time'
↑‘ナイトライダー’
‘クロツバキ’とサルウィンツバキ系の‘Ruby Bells’を交配してニュージーランドで作り出された交配種。八重咲き・小輪、3〜4月咲き。子房は赤く、白い毛が密生している
Camellia 'Night Rider'
↑‘ニジュウイッセイキカナザワ(21世紀金沢)’
=‘ニジュウイッセイキカナザワツバキ(21世紀金沢椿)’

金沢市の松井清造氏によって、‘カガワビスケ’とキンカチャの交配で作られた黄色いツバキ。品種登録された園芸品種。登録された名称は‘21世紀金沢’で出願時の名称は‘21世紀金沢椿’(「金沢21世紀椿」は誤り)。関東地方の我が家では屋外で問題なく越冬している。一重・抱え咲き・中輪、2〜4月咲き
Camellia 'Nijuisseikikanazawa'
↑‘ハルマチヒメ(春待姫)’ 上写真2点
極小輪(1枚目の写真の花径は30数mm)、一重・椀咲き。開花は11〜4月。ツバキ(ユキバタツバキ系)の‘コモミジ(小紅葉)’を種子親とし、チャの‘ヤマトミドリ(やまとみどり)’を花粉親とした交配種。花にはチャの花に似た弱い香りがあり、子房は有毛。品種登録された園芸品種
Camellia 'Harumachihime'
↑‘ピンクダリア’ 上写真2点
千重咲き、中輪。デコラティブ咲きのダリアとよく似た花形。アメリカで作られたサルウィンツバキとトウツバキの交配種
Camellia 'Pink Dahlia'
↑‘フウリュウ(風柳)’
ツバキの‘クロツバキ’とツァイ(Camellia tsaii)という原種との交配によって誕生した園芸品種。極小輪、一重の猪口咲き。開花は3〜4月。枝は枝垂れる
Camellia 'Furyu'
↑‘ブラックレース’
千重咲き、中輪。‘ドネーション’(サルウィンツバキツバキ‘ドンケラリー’の交配種)とトウツバキ‘クリムゾンローブ’との交配によって作られた園芸品種
Camellia 'Black Lace'
↑‘フリーダムベル’
八重・蓮華咲き、中輪。サルウィンツバキとツバキ(ヤブツバキ)の交配種とされる。アメリカのヌチオズナーセリーの作出品種
Camellia 'Freedom Bell'
↑‘ホンコンノホシ(香港の星)’
‘コウシ(香紫)’と香港産の原種・ホンコンツバキ(Camellia hongkongensis)との交配種。一重・筒〜ラッパ咲き咲き、中輪。3〜4月咲き。花には香りがあるが、あまり強くないように感じられた(香りの強弱は条件により異なるので、本来はもっと強く香るのかもしれない)。子房には毛が密生し、花柱は中途まで深く切れ込む。蕾は褐色
Camellia 'HongKongnohoshi'
↑‘ユメ(夢)’
カンツバキ‘シシガシラ’と白花を咲かせる中国湖南省・攸県原産のユウケンユチャ(攸県油茶/Camellia yuhsiensis)との交配種。桃色と白色の花弁が1枚おきに配列し、奈良・東大寺の修二会(しゅにえ)における行事のひとつ、「お水取り」の際に用いられる「一枚がわり」の造り花のツバキを思わせる。一重・平開咲き、中輪。1〜2月咲き。香りがある
Camellia 'Yume'
↑‘ラッキースター’
サルウィンツバキの交配種。
八重・蓮華咲き、中〜大輪。アメリカのヌチオズナーセリーの作出品種
↑‘ロビラキ(炉開き)’
ユキツバキ(Camellia rusticanaチャ(Camellia sinensisの自然交配によって誕生したと考えられる植物。原木の樹齢は100年以上で、新潟県栃尾市にある。葉はチャの葉にそっくりで、実際にチャに特有のカフェインやテアニンを含有している。新芽の季節に製茶して飲んでみようかと思う。花にはチャの花に似た香りがある(チャの花よりも弱い)。花は極小輪の一重・平開咲き。開花は9〜4月。名前の由来は、「炉開き」のころに花の盛りを迎えるから。なお「炉開き」というのは、茶道において風炉(ふろ)を閉じて地炉(じろ)を開く11月の行事
Camellia 'Robiraki'

DNAマーカーを用いた解析の結果、‘ロビラキ’の種子親は「ヤブツバキ」、花粉親はチャであることが確認された。
【田中 淳一, 太田(目徳) さくら, 武田 善行, 「ツバキ園芸品種‘炉開き’が種子親ヤブツバキ(Camellia japonica) ×花粉親チャ(C. sinensis)の種間交雑種であることのRAPDおよびSSRマーカーによる確認とチャ育種への利用の可能性」, 育種学研究, Vol. 5, No. 4, pp.149-154. (2003) 】
*この論文ではユキツバキをヤブツバキの変種として扱い、Camellia japonicaに含めている。論文中で用いられる「ヤブツバキ」はユキツバキを含む総称。従って‘ロビラキ’の種子親が「ヤブツバキ」と結論付けられているが、ユキツバキではないと言っているわけではない。
鋭意制作中

ツバキ属の交配種
*参照→
ツバキ →サザンカ →ユキツバキ →ワビスケ →カンツバキ ハルサザンカ チャ →カメリア・ロサエフロラ →ヒメサザンカ →セッコウベニバナユチャ →サルウィンツバキ →カメリア・ベトナメンシス →ハイドゥン →キンカチャ
学 名 Camellia cvs.
分 類 ツバキ科ツバキ属
原 産 東南アジア〜東アジア原産のツバキ属の植物の種間交配によって誕生した園芸植物(自然交雑種を含む)
タイプ 常緑樹
栽 培 水はけのよい土に植え、日当たり〜半日陰で栽培する。日当りの場合は葉焼けを防ぎ、葉を美しく保つためにやや遮光することもある。剪定は開花後、3〜4月(大きく切り詰める場合は2月〜3月上旬が最適)。6月ごろに花芽ができるので、それ以降の剪定は樹形を整える程度にとどめる。植え替えは梅雨時が最適で失敗が少ないが、3〜4月、9〜10月(寒冷地では8〜9月)も可能。鉢植えの用土は、赤玉土・鹿沼土・日向土・桐生砂のうちの数種を混ぜたものを用いる(アルカリ性の土壌を嫌う)。6〜8月に挿し木で殖やす(全体をポリ袋などで覆う「密閉挿し」なら、冬季でも可能。この場合、6月ごろに少しずつ外気に慣らしながらポリ袋を取り除く)。3〜8月の取り木も可
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